「お」が付くことによって意味が違ってくる単語は多い。「つまみ」と「おつまみ」、「しぼり」と「おしぼり」などなど。しかし、ふと、次の言葉の違いの大きさに気づき愕然とした。「帰りなさい」と「お帰りなさい」「帰りなさい」という言葉の持つ語感はとても冷たい。突き放すような命令形だ。「お前なんか要らない。とっとと帰ってしまえ」と言っているようにさえ聞こえる。それに比べて「お帰りなさい」は、何とぬくもりのあふれた言葉なのだろう。「お帰りなさい」は家族や愛する者たちの安全と平和と愛情を象徴する感情表現だ。いわゆる美しい日本語と言えば「ありがとう」だというが、私は「お帰りなさい」に勝る美しい日本語はないのではないかと思う。皆様の「お帰りなさい」がいつまでも続きますようお祈り申し上げます。